interview
-製品開発 関係者にインタビュー-
「生成AIの活用により、薬歴に割く労力は大きく減少する」

慶應義塾大学薬学部 助教
博士(薬学)
近藤 慎吾 先生
略歴
2017年:東京医科歯科大学医学部附属病院, 薬剤部, 薬剤師
2019年:慶應義塾大学薬学部, 化学療法学講座, 助教
2023年:慶應義塾大学薬学部, 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門, 助教
現在に至る
インタビュー動画はこちら
生成AIを活用した電子薬歴の印象
数多くの職種において、医療分野での活用に対しても大変期待していました。
一方で、ガイドラインやセキュリティ、プライバシーの対応などの問題があり、さらに患者さんの薬学的管理に関して、AIに薬剤師と同じレベルの仕事ができるのかという点が気になっていました。
事実に基づかない情報を生成するハルネーションが起こってしまうのではないか、また、それはプロンプトの工夫で対処ができるのかについて疑問が残り、実用は難しいのではないかと考えていました。

生成AIを活用した電子薬歴の研究・開発の苦労
生成AIを活用した電子薬歴システムの開発で、
もっとも苦労した点は、やはりハルシネーションでした。
患者さんと薬剤師の会話から、薬歴に記載すべき内容を推考し、下書きを書き起こすということにチャレンジしましたが、会話に無いことを書き起こしてしまう現象があり、それを修正するために多くの試行回数を重ねていました。
客観的な情報に、処方変更内容を電子薬歴から引用するという仕組みを思いつき、AIには、アセスメントとプランの推考に注力させるプロンプトに辿り着きました。

完成した生成AIを活用した
電子薬歴システムの印象
薬歴簿下書きの完成度としては、教科書のお手本通りを100点とした時に、総じて80点以上のスコアをつけられる印象です。
これにより、薬歴の作成に割く労力は大きく減少すると考えられます。
また、現在のシステムでは、OpenAIのCHAT GPTのGTP4-Turboにまで、対応しています。
これから、GPT4-Omniなど、新たにリリースされたバージョンに対応していくことで、レスポンスや精度が改善され、より一層 患者対応・対人業務に注力できる時間が確保できるようになると思います。
また、プライバシーへの考慮についても、患者名がLLMに上がらないように細心の注意を払った設計をしています。
臨床の現場では、医療従事者の働き方改革も求められているので、限られた時間を有効活用できるツールに進化してくれると確信しています。

関連製品
▼【DrugstarDrive開発秘話】開発者のインタビューも是非ご覧ください▼

「いつか自分や家族が患者になる日が来る」
システム開発部 部長
松本 卓也